「サーマルってよく聞くようになったけど、春夏・秋冬だとどちらで着ればいい?」
「同じ様な見た目のワッフルとは何が違うんだろう。」
「どんな風に着ればいいのか、着方も合わせて知りたい。」
サーマルとは「温かい」「熱」を意味する言葉のとおり、秋冬用に開発された保温効果の高い生地を使った衣類のことです。
その見た目が、お菓子の「ベルギーワッフル」に似ていることから、別名でワッフルと呼ばれることも多いです。
通常のカットソー生地にはない凹凸が特徴で、一枚で着ても表情が出ることで人気のアイテム。
近年では、シーズン問わず展開されているので、目にする機会も増えました。
ただし「何となく肌着感がする」「着方が分からない」などの理由で敬遠した結果、普段のカットソーを着続けている人も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、10代の頃からサーマルカットソーを着続け、現在はスタイリストとして活動する私が、40代以上の大人世代にサーマルの魅力と着こなしのポイントを解説。
本記事を読めば、普段のカットソーにはない、単品力の高いサーマルでマンネリを防げます。
ぜひ、参考にしてください!
サーマルとは、4シーズン着用可能な万能アイテム
かつては 冬用の保温肌着
冒頭でも触れたように、元々のサーマルは秋冬用の衣類。
広く知られるようになったのは、戦禍においてで、現代のような機能性肌着のなかった時代に、軍用の支給品として生産されました。
当時のサーマルはフィット感の強いタイトシルエットで、ウールやコットン素材が多く、凹凸のある生地が体温を集め、熱の膜を作るような効果があったため、保温性が高く人気のアイテムに。
肌離れもよく、汗を掻いてもくっつきにくい利点も人気の理由にあったようです。
今ではオールシーズン着用可能なカットソー
素材開発が進んだ今では、薄手で通気性のよい素材を使ったサーマルも流通し、シーズンを問わず多くのブランド・メーカーから発売されています。
かつてはコットンが主流だった素材も、ポリエステルなどの化繊(かせん)を混ぜたものが多くなり、速乾性などの機能が向上。
春夏シーズンに、半袖のサーマルを見る機会も増えました。
サーマルはニットorカットソー?
「サーマルというのは、ニットなのか、カットソーなのか」という疑問も散見しますが、これについては両方に当てはまります。
カットソーやシャツなどの上に着るのならニットやスウェットの替わりとして、ジャケットのインナーや単体で着るならカットソーの替わりとして使えます。
つまり、捉え方は使い方次第と言えるでしょう。
「生地の種類としてはどっち?」という問いにはニット=生地の目が荒いものという分類なら、ニット寄りと言うことができます。
細かいことを述べましたが、私は個人的に「ロンT以上、スウェット未満。」という解釈をしています。
大人のサーマルの選び方を3つのポイントで解説
❶ アイテムは着用シーンで選ぶ
選ぶべきアイテムは、着用シーンによって変わります。インナー、アウター、それぞれの着用シーンで掘り下げて見てみましょう。
インナーや一枚着として着用
ジャケットのインナーや一枚着として、ロンTの替わりにするのであれば、カットソー感覚で着ると違和感がありません。
生地の表情が豊かになることで、普段のTシャツと差別化もできるでしょう。
その際のサイズ選びはジャストサイズが基本となります。
トレンド感を出したり、体型カバーを目的とするなら1サイズアップが目安です。
ジャストと言っても、肌着のようなタイトなものではなく、服と身体の間に適度なゆとりのあるものが近年のジャストサイズの解釈となっています。
身体のラインを拾うようなサイズ感はジャストではなく、タイトです。
40代以上の大人世代には、ジャストをおすすめします。
重ね着として着用
ニットやスウェットの代用と考えるなら、カットソーやシャツの上に重ね着するのがいいでしょう。
この際はゆったりめのサイズ感のアイテムが良いでしょう。
ただし、この着方は多忙な男性向けではありません。
少なからず組み合わせを考える必要があるため、私たち大人世代はカットソー感覚で着た方がいいでしょう。
注意点は、カットソーといってもインナーを着用すること。
現代解釈のジャストサイズで選んでも、動いた時に身体のパーツを拾うこともありますので、肌着の着用はマストと言えます。
この時期の防寒対策という意味でも、インナー着用をおすすめします。
❷ 素材は取り扱いやすさで選ぶ
サーマルを選ぶ際、素材選びも重要です。
取り扱いのしやすいものを選ぶとベターでしょう。
特に、伸縮性の有無、肌触りなどの着心地、洗濯後の乾きやすさなどは知っておきたいポイントですね。
伸縮性が高いのは、化繊入りのもの
サーマル生地は、化繊の入ったものの方が伸縮性が高いです。
化繊はポリエステルやポリウレタンなどが一般的で、コットンよりも伸縮性に優れています。
「コットン100%でも、伸縮性の高いものはある」と思う人もいると思います。
アメリカン・カジュアルのメーカーなどでは、コットン100%のサーマルもよく販売されているので、実際に着用した人の中にはそう思う人もいるでしょう。
確かにコットンも編み方によって、伸びやすい生地を作ることが可能です。
ただし、伸びはするけど縮まない、要は型崩れに繋がってしまうんですね。
つまり、伸縮性を追及するなら、化繊入りのものがベターです。
肌触りがいいのは、コットンの割合が多いもの
一枚着のカットソーとしての着用を考えると、肌触りの良いものを選びたいですよね。
着心地で考えると、化繊よりもコットン素材に分があります。
新品の時にはそう感じないかも知れませんが、着用・洗濯を重ねていくと、水に強いコットン素材の方が心地よく感じることがあります。
あくまでも目安となりますが、化繊よりもコットンの割合が多いものを選ぶと良いでしょう。
乾きやすいのは、化繊入りのもの
サーマル生地は、化繊入りのものが乾きやすく、取り扱いが容易です。
過去に、綿100%の衣類を着用中に汗を掻いて、なかなか乾かなかったことはありませんか?
天然繊維のコットンは糸の芯まで水を吸うため、吸水性に優れるメリットがある一方、その分だけ乾きにくいというデメリットもあります。
一方の化繊に使われているポリエステルなどは、石油を主原料としているため、水を糸の芯まで吸い込みにくく、その分だけ乾きやすいというメリットがあります。洗濯後の乾きさす差を考えても、40代以上の多忙な男性は、乾きやすい素材を選ぶ方が仕事に集中しやすいでしょう。
おすすめは、コットンと化繊の混紡素材
伸縮性・肌触り・乾きやすさを考えると、コットンと化繊の混紡素材がおすすめです。
全て100点の素材はありませんが、混紡素材であれば双方のメリットを得られるため、おすすめです。
❸サーマル生地の種類で選ぶ
サーマル素材には、幾つかの形状(編み方)のものが存在します。
ここでは、代表的なものを紹介していきます。
ワッフル
最も一般的な生地で、表面の形状がベルギーワッフルの生地に似ていることから付けられた名称。
表面に凹凸があるため肌離れが良いメリットがある一方、素材の成分によってはチクチクと感じることもあるため、敏感肌の人はやや注意が必要です。
ハニカム
ワッフルと比較される形状で、蜂の巣状に編まれていることから付けられた名称。
日本では「蜂巣(はちす)織り」と呼ばれることもあります。
ワッフルと比較すると、凹凸が少ないため滑らかに感じる一方で、保温性ではやや劣ります。
ベルベット
一見するとワッフルですが、裏側が絨毯のようなベルベット状になったもの。
凹凸が少ないため、表面はワッフルなのに肌触りが良いのが特徴です。
ワッフル・ハニカムと比較すると流通量は少ないですが、ニットにも劣らない高い保温性を備えており、秋冬の注目素材と言えるでしょう。
サーマルアイテムの取り扱い方についても解説
サーマルの選びのポイントをおさえたところで、次に日頃のケア方法についても触れておきたいと思います。
ニットと同様に取り扱えばOK
サーマルは「ロンT以上、スウェット未満。」という解釈をお伝えしましたが、ケア方法についてはニットを参考にするのが良いです。
洗濯機で洗う際はネット使用を忘れずに
殆どのアイテムは洗濯機で洗うことができます。
その際には必ずネットに入れましょう。
使用せずに洗うと、大きく伸びてしまい、型崩れの原因となります。
乾燥器の使用は控えるのがベター
サーマルは隙間が多い生地のため、乾燥機に入れると目がギュッと詰まり、縮んでしまうことがあります。
天日や陰干しであれば、着用中に伸びた分が復元する程度ですが、乾燥機はそれ以上に縮んでしまいます。
型崩れの原因となる乾燥機の使用は、避けた方が良いでしょう。
ハンガーは太めのものを使用
サーマルを干す際は、太めのハンガーを使用するか、平置きで乾燥させましょう。
サーマルは伸びやすい生地のため、ハンガーの跡が残りやすいので注意が必要です。
特に肩部分にハンガーの端部分の跡が残りやすいので、ハンガーを使用する際には太めのものがおすすめです。
同じ理由から、保管時はハンガーで吊るのではなく、畳んで収納するのがベターです。
my dayのおすすめ新商品も紹介
最後に、my dayの新作についても触れておきたいと思います。
my day Thermal Velvet(¥ 9,680)
今シーズンのmy dayでは、新商品としてThermal Velvet(サーマルベルベット)を展開。
その特徴を、ここまで解説した選び方に基づいて紹介させていただきます。
着用シーンはジャケットやブルゾンのインナーで
my dayのThermal Velvetはジャケットやブルゾンのインナー着用を想定したデザイン、サイズバランスになっています。
デザインはブランドの他アイテム同様にシンプルではありますが、ワッフルの表情が人気商品のPremium Non Iron Long T-shirtsとは一味違った仕上がりとなっています。
素材は取り扱いやすい化繊入り
素材は表地のワッフルがコットン 75%・ポリエステル 25%、裏地のベルベットがポリエステル 95%、スパンデックス 5%と、取り扱いやすい化繊入りのもの。
表地はコットンの割合が多いので、マットな風合いで高級感もあります。
裏地は化繊のみとなっており、肌触りの良さと共に、蒸れにくい使用になっている点もポイントです。
生地はサーマルベルベットを採用
生地は外に出る表面がワッフル、肌に触れる裏面がベルベットという、秋冬向けの生地を採用。
ニット類以上に高い防寒性を備えるのが特徴です。
未体験の着用感という人が多いでしょうが、そこは「毎日同じ服を着るワーカホリックな男性のための定番服」をコンセプトにするmy day。
過度なデザイン性は抑え、着用感・保温性を追及したベーシックなデザインとなっています。
【まとめ】普段のカットソー・ニットにサーマルを加え、日常に小さな変化を
40代以上の冬スタイルは、カットソーやシャツの上にジャケット、その上に防寒用のアウターといった組み合わせが主軸になってきます。
定番的で組み合わせやすいメリットの一方、どうしてもマンネリ化しがちな点がデメリットになり得ます。
そんな時は普段のロンTをサーマルカットソーに替えるのがおすすめ。
見た目の雰囲気も変わりますが、それ以上にご自身の気持ちが新鮮になるはずです。
日常に少しの変化を加えるだけで、仕事やプライベートに良い影響が出やすいので、my dayのサーマルベルベットも含めて検討してみてください!
かんくろう
メンズファッションスタイリスト/業界歴17年/ブランド旗艦店・ISETANメンズMGR/東京から三重県に移住/個人向けスタイリストを開始/Webメディアでも執筆中/プライベートでは2児の父