「少し気が早いけどダウンが気になる」
「ビジネス用コートの新調を検討している」
「着丈はどれくらいのものを選べば良いんだろう」
そんな風に思っていませんか?
軽くて暖かいことで人気なのがダウン。男女を問わず、毎年多くのブランドから新商品がリリースされる、冬に欠かすことのできないファッションアイテムです。しかし、ダウン製品はその人気ゆえトレンドの移り変わりも早く、単価の高さから即決しにくいアイテムでもありますよね。
そこで、現役のスタイリストが2023年のトレンドを踏まえ、ダウンの選び方を解説。
結論を言えば、40代以上の大人の男性がダウン製品を選ぶ際に最初に考えるべきは着丈の長さです。スペックは、着丈の長さを選択した後に確認してください。
この記事では、自身も40代のスタイリストが最も重要な着丈に焦点をあて、my dayの人気アイテム「Down Chester Coat」「Collarless Down Jacket」をピックアップして比較。
この記事を読むことで、自分がロング丈とショート丈のどちらを選ぶべきなのかが分かります。
ダウンを選ぶ前に知っておきたいこと
前提知識として、ダウン製品に使用しているダウンとは、水鳥の羽根の隙間に生えている、タンポポの綿毛のような産毛のことを指します。このダウンボールと呼ばれる産毛は、フェザー(羽根)のような芯がなく、軽量で柔軟な点が特徴です。
ダウンとは、このダウンボールとフェザーを混ぜた物の通称です。製品の品質は、含まれるダウンの質・量によって決まります。高品質・割合が多いほど、品質も価格も高くなります。
ダウンと比較されやすいものに、中綿(なかわた)があります。中綿とは、ポリエステルなどの化学繊維で作られるもので、ダウンと比較すればやや重く、保温性で劣ります。ただし、水濡れ・型崩れに耐性があり、アウトドア・レジャーのシーンで使いやすいメリットもあります。
この前提をおさえて、選び方を見ていきましょう!
ダウンと中綿の違いについては、こちらの記事も参考にしてください。
【デザインで選ぶ】着丈の長さが最重要
まずはロング丈のコートか、ショート丈のジャケットか、タイプを決めましょう。ご自身の着用シーンによって、必要な着丈は変わります。
ビジネスなら膝丈くらいのコートタイプがフォーマル見えし、普段着であればジーンズのバックポケットが出るくらいのジャケットタイプの方が足さばきもよく便利です。
ポイントは、間をとってミドル丈を選択しないことです。
ミドル丈はお尻が隠れるくらいの着丈のことで、アウトドアシーンでよく見るフード付きのマウンテンパーカーなどが該当します。ミドル丈は40代以上の大人が街で着るとずんぐりして見えやすく、カジュアルに振り過ぎる傾向もあります。40代以上の大人はロング丈のコートタイプか、ショート丈のジャケットタイプ、長短が明確な方が良いでしょう。
ここでは、my dayの人気アイテム「Down Chester Coat」と「Collarless Down Jacket」を例に比較していきます。ご自身の用途に合うタイプを確認してください。
【ロング丈】Down Chester Coat(ダウンチェスターコート)
・ビジネス使用がメインの人
・生活圏が都市部の人
・普段着がキレイめな服の人
ロング丈のダウンチェスターコートは、ビジネスでの使用はもちろん、ご自宅や職場などの生活圏が都市部にある方におすすめです。電車・バスなどの交通機関を利用する機会が多い生活圏では、電車・バスなどの交通機関や徒歩移動が多くなると想定されます。冬場の屋外は足元から冷えるため、防寒対策としてもコートタイプが役立ちます。
ビジネス以外でも、チェスターコートはキレイめな服との相性が良いアウターです。元々、チェスターコートとは「チェスターフィールドコート」を正式名称とする英国の外套(がいとう)で、19世紀にチェスターフィールド伯爵が防寒着として着用して流行したことが呼称の背景。
日本ではシャツやニットを用いた服装を「キレイめ」と呼ぶことが多いですが、これらは古くからトラッド(トラディショナルの略)という、英国の伝統服も含みます。ルーツが同じため、相性が良いのも納得ですね。
Down Chester Coat(ダウンチェスターコート)の魅力
my dayのダウンチェスターコートの最大の魅力は「テック感のある、都会派チェスターコート」という点です。
テックとは『高機能』『アウトドア系』を指す近年のトレンドワードで、my dayのダウンチェスターコートもビジネスコートをベースにデザインしつつ、スポーティーさをプラスしています。
本来のチェスターコートはウールを軸にした素材のものが多く、単体での保温性はそう高くありません。重ね着を想定した作りのため、真冬はインナーで保温性を高める必要があります。
その点、ダウン内蔵のチェスターコートは単体でも温かく、ジャケット・シャツの上に羽織るだけで保温性が確保できます。スウェット・ロンTなどカジュアルなアイテムと合わせやすいテック感は魅力的ですね。
実際に購入された方のコメントでは「北海道在住でも、軽くて暖かく春先まで重宝する。」「降雪地帯でも表面に雪が着かなくて良い」などのメリットも見ることができます。
【ショート丈】Collarless Down Jacket(カラーレスダウンジャケット)
・カジュアル使用がメインの人
・生活圏が郊外の人
・オンオフ兼用したい人
ショート丈のカラーレスダウンジャケットは、カジュアルなシーンでの着用を想定している方、ご自宅や職場などの生活圏が郊外にある方との相性が良いです。
郊外は車での移動が想定されるため、着丈の長いコートタイプよりも短いジャケットタイプの方が運転しやすいメリットがあります。
コートを着て運転した経験がある方なら、乗り降りの際に裾が気になったり、コートに座る格好になり背中が吊られ、ハンドル操作がしにくいと感じたことがあると思います。その点、ジャケットであれば運転に支障はないでしょう。
Collarless Down Jacket(カラーレスダウンジャケット)の魅力
my dayのカラーレスダウンジャケットの特徴は、汎用性の高さです。季節は冬のみの着用ではなく、秋から春までの3シーズンで着用が可能。「真冬は寒そう」と思うかもしれませんが、首元をマフラーで覆えば1枚多く着込むのと同じ体感になりますよ。
寒がりな方は、このジャケットの上にコート類を着て『インナーダウン』として使うのもおすすめです。ダウンの量を調節してスタイリッシュに仕上げているため、着ぶくれとは無縁です。
カジュアルはもちろん、キレイめなアイテムとの相性もよいため、スウェット・パーカーだけでなく、シャツ・ニットと合わせても大人な雰囲気で着こなせます。表面の光沢を抑えたマットな質感や、ダウンを仕切るためのステッチ(縫い目)を斜めしているデザイン性も見逃せないポイントです。
【色・サイズを選ぶ】大人はブラック・ややゆったり
大人がカラーで選ぶならブラック一択
ダウンの色はブラックがおすすめです。ダウンは構造的に膨らんでいるため、明るい膨張色よりも落ち着いた収縮色の方がスタイリッシュに見えます。その中でも黒は最も収縮効果が高く、着る人も選びません。
時折、街で鮮やかな色のジャケットを着た人を見かけた際に「明るい色のダウンもいいな」と思うこともありますが、一時的なことが多く、自身で所有すると飽きるのが早いです。ダウンを含めたアウトドアアイテムに明るい色が多いのは、アルピニストの人達が山で遭難しないための工夫。ビジネスや普段着にするなら、ブラックを選びましょう。
大人がサイズ感で選ぶならややゆったりめ
「大人の服はサイズ感が重要」という定説はダウン製品も例外ではありません。ややゆったりしたものを選ぶと、いわゆる「今っぽく」見えます。ポイントは「ゆったり=オーバーサイズ」ではないこと。オーバーサイズのトレンドも落ち着いてきていますので、洋服と肩・身ごろ・腕の間に適度な隙間のある、ゆったりめのサイジングを意識してください。
【機能性で選ぶ】おさえておきたい3つのポイント
保温性ならダウンとフェザーの配合率をチェック
ダウン製品の保温性を確認する際の目安が、ダウンとフェザーの配合率です。ダウンとは、水鳥の羽根の間を埋めるダウンボールのことで、一方のフェザーとは羽根のことを指します。この配合率は、ダウン90%に対しフェザー10%の9:1が黄金比率と言われており、プレミアムダウンと呼ばれるような高価なダウン製品ほど、この値に近いものを採用しています。
ただし、昨今は製品開発が進んでおり、ダウンの比率を減らしたものでも十分な保温性を備えていることが多いです。この黄金比に固執してしまうと、選択肢を減らすことにもなるため、あくまでも参考値にしてください。ダウン80%くらいの割合があれば、日本国内で着るには十分すぎる温かさです。
「ダウン100%が最も高品質なのでは?」と思う人もいるかと思います。結論から言うと、ダウン100%を衣類にすることはできません。原料のダウンボールは潰れやすいため、ダウンのみでは膨らまないからです。膨らまなければどんなに厳選したダウンボールでも温かくはなりません。フェザーの硬い芯があることで衣類に膨らみができ、ダウンボールが広がって保温効果が生じます。
耐水性・撥水性で選ぶならテック系ナイロン
ダウンを選ぶときは、耐水性・撥水性もチェックしてください。ダウン製品は暖かい反面、水に弱く、雨や雪に濡れると保温性を失うというデメリットがあります。ダウンジャケットを愛用するためにも、耐水性・撥水性の高い生地を選ぶと良いでしょう。
ダウンを覆う外側の生地はナイロンをベースにしたものがおすすめです。ストレッチが入った「テック系ナイロン」であればなお良しです。ナイロン素材は内側のダウン部分との相性が良く、効率よくダウンの熱を閉じ込めてくれます。
密閉性だけなら他にも素材はありますが、ナイロンは籠った湿気を外に逃がす効果も備えている、ダウン製品に最良のパートナーです。
【ブランドで選ぶ】価値観・ライフスタイルに合わせる
ブランド名で選ぶと失敗しやすい
ブランドを選ぶ際に気をつけたいのは、ネームバリューを追い過ぎないことです。言い方を変えれば、ブランド名で選ぶと失敗しやすくなります。
理由は、ダウン市場の成熟に伴い、全体の品質が底上げされているためです。確かに、海外ブランドの「プレミアムダウン」と呼ばれるものは付加価値も高く、ロゴで主張もできることから人気です。
例を挙げるなら。モンクレール・カナダグース・タトラスなど。他にも、日本国内でもここ数年で海外のプレミアムダウンに負けないような製品・ブランドが増え、市場の成熟ぶりは顕著です。
しかし、ビジネスやタウンユースで着る際、そこまでハイスペックなダウンはご自身にとって本当に必要なのかを考えて欲しいです。
業界の成熟により平均値が向上した現在では、中低価格なダウン製品でも普段着としては申し分のない機能性があります。実際、車や電車内で着ていると暑いくらいに感じることもあります。ブランド名よりも、ご自身の価値観・ライフスタイルで選びましょう。
専業ブランドかトータルブランドかは価値観で選ぶ
ブランド・アイテムを選ぶ際の目安になるのが、ダウンをメインに商品展開をしている専業、あるいは他アイテムも展開しているトータル、このどちらに属するブランドかということです。
結論から言うと、私は後者のトータルブランドをおすすめすることが多いです。理由は、汎用性の高さにあります。単品でなく、スタイリングを元に製品を作っていることが多いため、自然と他の服に馴染むものが多いです。
「専業ブランドの方が安心」と思う人もいるかと思います。確かに、専業なら老舗も多く、安定感がありますね。一方で、スペックや付加価値に偏りがちな点が気になります。
今はダウン製品全体の品質が上がっており、一概に専業ブランドの方が高品質とは言えません。同じ工場で生産していることも多々あります。最終的には、ご自身の価値観で選べば良いですが、私はシンプルで主張を抑えたトータルブランドを推すことが多いです。
一生ものはない
ダウンに限ったことではないのですが、洋服に一生モノは存在しません。どんなに高価な服でもトレンドがありますし、どんなに定番的なデザインでもサイズバランスの流行は変わります。「これなら、一生モノですよ」とよく聞かれますが、売り手と買い手の双方に耳馴染みのいいコピーです。耐久面で一生持つものはあっても、最前線で活躍し続けられる服はありません。
一生ものがあるとすれば、形見など特別な思い出の品であることが多いのではないでしょうか。それには服より時計・アクセサリーなどの小物類が多いですよね。
【まとめ】ダウンを上手に着こなして、デキる大人を演出しよう
軽くて暖かいことで人気のダウン製品には、ご自身の用途やトレンドに合わせた選び方があります。用途については、ビジネス利用がメインならロング丈のコートタイプ「Down Chester Coat」、カジュアル利用が多ければショート丈のジャケットタイプ「Collarless Down Jacket」を選ぶと良いでしょう。どちらかで迷い、決めきれないようなら、ダウンチェスターコートを選ぶことをおすすめします。
どちらを選んでも、スタイリッシュな都会派ダウンのため、オンオフ問わず“デキる大人”を演出しやすいです。間もなく到来する秋冬に向けての準備を始めてください!
オススメのダウンコート
my dayのDown Chester Coatをご紹介します。
my day Down Chester Coat(¥29,800)
my dayのDown Chester Coatは、中綿ではなくダウンを使用しているから暖かい。
さらにチェスターコートなので、仕事・プライベートともにご活用いただけるダウンコートです。
かんくろう
メンズファッションスタイリスト/業界歴17年/ブランド旗艦店・ISETANメンズMGR/東京から三重県に移住/個人向けスタイリストを開始/Webメディアでも執筆中/プライベートでは2児の父